おばけうさぎの断片的なこと、あれこれ

思いつきで書いたり書かなかったり

ユリイカ2013年7月号臨時増刊を読んで


朝、ユリイカ2013年7月号臨時増刊総特集「岡村靖幸」を、購入。

読み進んでいく。どんどん辛くなっていく。

どうしてだろう?と思い、一度閉じる。

また開こうとするが、やはりダメだ。

結局今日は読むのを止めた。

怖い予感はあった。しかし、良くも悪くも見事に讃美記事しか無くて、ぞっとした。

いや、総特集号なんだから、否定的より肯定的な意見が多いものにはなると思った。

しかし、例えばWikipediaには書いてあるし、長年のファンなら知っている、というかファンでなくても知っている「空白の時代」についてとか。

学術的に語ってみた、とか、あえて批判してみる、とか、「ユリイカ」ならではの言論はないと思った。

ひたすら、讃美と、自分が岡村靖幸体験をした歓喜に満ちたコメントが並ぶ。

確かに優れたメロディメーカーで、
48歳とは思えないダンスをして、歌う。
「キモチ悪い」とさえ言われてしまっても、その魅力は確かにある。

たた、この号は……ファンブックとしては必読だろうけれど、違和感が拭えない。

いつまで彼をナイーブさの代弁者のままにしておくのか?

ファンを失望させた、3回の逮捕には何も語らないまま、ひたすら塗りつぶして、まるで無かったかのようにして歩いていくのか?

または歩かされているのか?

ファンであるが故に、読んでいてとても悲しくなってきた。

「僕の/私の知ってるこんなに素敵な岡村靖幸像」「自分の青春!もがきを表せる人!」という文説は寧ろ、お腹いっぱいであるよ。

ユリイカ」にも期待値上げすぎたかな…と感じている。

批判/反論/学術的コンテクストあってのユリイカなんじゃないかな、と思っていたので。


個人的には最後の全作品解説が良かった(普段見れないシングル作品にまで触れられているから)と思うけれども……


「彼は確かにすばらしい曲も作り、素敵なダンスをし、歌うが、そこまで讃美されるべきなのか」という疑問が拭えなくなった感じは正直ある。

批判的思考を持ってはいけないファシスト的雑誌だったっけこれ?という気は激しくした。


1600円。安くはない価格。
しかしアートワークも効いてるし、読む価値はあると思うし、ファンとしては必読だと思う。

だけど、ここまで賛美されるべき対象なのか、よくわからなくなってきた。

……臨時増刊なんだし、そんなものなのかなぁ。

個人的にはユリイカ本誌のやくしまるえつこ特集くらいの温度だと思っていたけど。
(これも基本的に肯定的な記事しかありませんが、暑苦しくはない)


その熱狂性が岡村靖幸だ、と言われたらにわかファンは口を噤むしかないけれど、もう少し冷静な目で語るものが必要ではないのかな、と思った。

例えば、坂口恭平に対する石川直樹のように。

否定はしないが、批判できる。

そんな人が。
そんなテキストが。