おばけうさぎの断片的なこと、あれこれ

思いつきで書いたり書かなかったり

「すべての仕事は売春である」

というのは岡崎京子『pink』のあとがきにあるが、イマイチ自分の中に落ち切らなかった言葉だった。

派遣社員として働いていて、ふと「私の仕事は売春である」と思った。

正しくない解釈だと思うけれども、

私は今この場にいるけどこの会社の社員じゃない、というちょっとした浮遊感や、 馴染みきってはいけないような気持ち、「私のお客様は――もちろん『顧客』もお客様なんだけど――第一義的な意味でのお客様は今、ここにいて一緒に働いている同僚や上司である」という状況は、言うなればまさに「売春」と思うのである。

ある意味バーチャルな人間関係で、契約が切れたらもう会うこともない、そんな感じ。

「事実として、派遣社員を雇うというのは家具を買うのと同じ目線で見るということだからね」
「人じゃない、という意味ではなく単純に『スペックでしか判断されない』という意味で。この人はこれができる、なにが出来る、それもできる。じゃあ雇う。買う。」

人からその言葉を聞いたときはどう返事をすればいいか分からなくて曖昧に笑っていたけれど、同時に頭がスッキリしたことも事実だ。

私の体を買うお客様なのだから、親しいお友達は、いないか数少ない方が望ましい。べたついてはいけない。

お客様の前では、できるだけ良いパフォーマンスをしたいと思っている。

「わたしの仕事は、売春である」

そう思うと、不思議と明日も会社行くか、と思えてくる。少しだけ。