『自殺』と『頑張って生きるのが嫌な人のための本』
頑張って生きるのが嫌な人のための本~ゆるく自由に生きるレッスン
- 作者: 海猫沢めろん
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2014/02/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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@pantasmacoello 感想などいただければありがたいです。
— 末井昭 (@sueiakira) 2013, 12月 12
こんなやりとりをしていたのに、すっかり感想を書くのが遅くなってしまいました。この間、私は家族に『自殺』をプレゼントしました(読みたいって言われたのと、近くにおいてないって言われたからだよ!)。
『自殺』を手にとったのは、本当にたまたま書店でサイン本を見かけたのがきっかけでした。末井昭さんは、西原理恵子さんの漫画でその存在を知っていましたが、なんとなく『自殺』刊行直後は積極的に買おうとは思っていませんでした。
ただ、その頃なんだかどうしようもない不安がずーっとつきまとっていて、うつが再燃してきたか、と病院に行って薬を増やしてもらったり、頭のなかが「消えたい」「私は無価値な人間だ」という思いでいっぱいになっていたりしました。
でも私は、「痛そうだしあまり頭が良い感じに見えない」ということでリストカットやオーバードーズをする人間でもなかったし、「自殺したら姪っ子たちが……あとでなんかトラウマになっちゃったらどうしよう……」と思って思い切った行動ができない人間でした。
「クズだ、でもリスカもできなければ飛び込むこともできない、どうしよう」と訳の分からない思考になっていたので、『自殺』に出会えたのは本当にタイミングだな、と思います。
『自殺』は、著者・末井昭さんの実母がダイナマイトで心中した話から、自分の身の回りの話、医療やNPOで「自殺」と向き合っている人の話などが、全く平等なテンションで書かれています(もしくは、そう見えます)。過剰に悲しく書いたり、ジャーナリスティックでもなく、末井さん自身の興味と体験から、静かな文章が綴られています。
個人的に一番驚いたのは、自分とおそらく同じ年の、同じ出身地の女性が出ていたことです。あんなところに、こんな女性がいたのだと思いました。宮崎にもアングラ文化ってあったんだ……!とちょっとしたエウレカもありました。
私の故郷、宮崎県は割と自殺率が高いことで有名(原因は、経済的な理由や飲酒などが主)で、正月から自殺防止センターが動いていたり、そこのTwitterを見ると直近では3夜連続のイベントなどもやっていたり、あまり表立って見えないけれど、自殺が多いんだな、と感じさせられます。
自殺問題を考える3Night 無時終了です。 「自死対策を考える」「うつ」「自死遺族によりそう」 をテーマに3夜にわたり自殺・自死について考えました。 もっと、多くの人に関心を向けていただき、... http://t.co/leeJK0r9yk
— 宮崎自殺防止センター (@miyazakibousice) 2014, 2月 22
(宮崎は民放が2つしかなく、書店も数が減り、インターネットが無いと、本当に「自分の周りの価値観がすべて」という状態になりがちです。そして、全体的に貧しいです。たしか沖縄とかと並んで県民所得が低い、ワースト争いをしているような、ゆるく貧しい地域です。)
それはさておき、『自殺』の感想に話を戻すと、この「平等なテンション」が自分にとってとても安らぐということに気が付きました。
そして、読み終えた頃には「少なくとも死ぬのはやめよう」と思いました。
死はいつか来るし、自分で無理やり引き寄せることもできなくもないが、やめようと。
説教臭くもないし、むしろ末井さん自身の「結構さらっと書いてるけどシリアスに考えると結構ここで死んじゃう人もいるよね」的なところもあったりするので、「私ごときの悩みで死ぬというのはおこがましい」みたいに思えたから、というのもあるのですが、最後に思ったのは「やっぱり死んだらもったいない」ということでした。
最近も「Twitterなどで死ぬ死ぬ言っていた人が、彼氏(こっちも精神的にきていたのかも)に『もう死ぬ死ぬ詐欺やめて飛び降りろよ、確実に死ねるじゃん』と言われて、本当に飛び降りて死んじゃった」みたいなニュースを見聞きして、「このニュースで誰も幸せになっていなくてワロタ、、本人は自尊心保てたかもしれないし、ニュースになってよかったかもしれないけど、もう死んじゃってるからその自尊心が満たされたかも不明だから結局幸せじゃないね」と思いましたが。
「なんか色々この先について考えるの面倒だな、本当誰かに任せてしまいたい……」という面倒臭さは消えませんが、とりあえず「自殺」は選択肢から消えました。それだけでも、この本を読んだ意味があったと思います。
ただ、死にはしないが「自分の生き方探しアゲイン? ピア・プレッシャーに押しつぶされそうじゃない?」と「自己啓発本」コーナーに毎日立ち寄るレベルには病んでいた(る)さなか、近所の三省堂書店で『頑張って生きるのが嫌な人のための本』というすごいストレートなタイトルの本が面陳されていました。
「いや、頑張って生きるのが嫌、っていうか、生きるためのことを頑張って考えるのが嫌っていうか」
と一度スルーしたのですが、どうにも気になったのと、トークショーが近々で開催されるというのが気になって、電話で予約しちゃいました。
そして、読んで、まず『自殺』の感想を書こうと思いました。
『頑張って生きるのが嫌な人のための本』の感想に関してはまた後日。